相続放棄だ!

石屋の正

2010年09月27日 21:27

多額の借金を残された場合の相続









■借金の額を明らかにする

① 相続人の自由

 被相続人の財産を相続するもしないも相続人の自由です。

  相続財産には、プラスの財産(積極財産)もあれば

 マイナスの財産(消極財産)もあります。

 親が残した借金を子が相続する場合がよくあります。

 そのようなときには家庭裁判所に限定承認や

 相続放棄の申述をするのがよいでしょう。

 相続について、相続人は無制限に受け取るか、

 そうしないかの選択権があるということです。

② 相続選択について

 単純承認

 相続人が被相続人の財産を無制限に相続するとき、

 単純承認といいます。

 被相続人の財産をすべて受け継ぎ、

 一切の責任を負うことになります。

 単純承認をする場合、法律的な手続きは必要ありません。

 
 相続放棄

 相続財産を調査した結果、

 被相続人(ここでは亡父)仮に相続する積極財産

 (現金、預貯金、債権、不動産など)が1000万円、

 消極財産1500万円あれば、差し引きすると、

 マイナス500万円相続することになります。

 相続人が思わぬ借金を相続によって負わされます。

 これでは相続人の生活を苦しめ、本人の意思を無視することになります。


 

 そこで、とにかく全面的に財産の相続を放棄することが

 出来るよう民法に定められています(民法915条、938条)。

 これによって亡き父の借金は払わなくてもよいことになります。

 相続放棄は相続人となったことを知った日から3ヶ月以内に!

 

 相続の放棄をする場合は、

 自分が相続人となったことを知った日から3ヶ月以内

 (この期間を熟慮期間という)に、

 家庭裁判所に申し立てをしなければなりません。

(民法915条)なお相続人が複数人いる場合も、

 各相続人は自己の相続分について相続放棄の手続きを進めることができます。

 また、考慮期間を過ぎると、自動的に相続する意思があるとみなされ(法定単純承認)、

 借金も相続することになるので注意が必要です。(民法920条2項)

 



 限定承認

 限定承認という手続きをとった場合は、

 相続によって得た財産を限度として借金を返済することになります。(民法922条)

  先ほどの例でいえば、借金額が1500万円、

 積極財産が1000万円ですので、

 積極財産額の1000万円を限度として借金を支払えばよいことになります。

 こうすればプラスマイナスゼロになって、

 相続人が借金を返済するために新たな経済的な負担を負うことはありません。

  ただし、限定承認をしようとする場合は相続放棄とは違い、

 考慮期間内に全ての相続人が合意する必要があります。

 (民法923条)また、この合意に基づいて作成した「財産目録」が必要になります。

 これを添えて、相続人全員が共同で家庭裁判所に限定承認の申し立てをします。(民法924条)

 



 限定承認を申し立てる理由としては、

 調べても借金の総額がはっきりせず、

 相続放棄することが得なのか損なのか分からない場合、

 あるいは先祖代々受け継いでいる家宝を手放したくない場合などが挙げられます。

 相続開始を知ってから3ヶ月以内に

 限定承認や相続放棄の申述をしなかったとき、

 申述の前や後に財産の全部または一部を使ったり隠したりしたときは、

 単純相続をしたことになります。(法定単純相続)








関連記事