韓国の葬儀

石屋の正

2010年08月31日 08:28

日本から一番近い国、韓国。











遠い昔から、文化的にも政治・経済的にも、

私たちの国と密接な繋がりを持つその国には、

意外と知られていない伝統的なしきたりが残っています。

そこで今回は、韓国のお葬式についてご紹介します。



 
親への孝行を示すために

韓国を訪れてまもなく気付くのは、

人々の年長者に対するマナーの良さです。







地下鉄に乗っていて、年配の人が自分の前に立てば、

さっと席を譲る。


レストランでは、同じテーブルの年長者が料理に箸をつけるまで、

他の人は箸をとらずに待っている。

食事が終わり、席をたつのも年長者が先。

日常のあらゆるシーンで、目上の人を敬う姿勢が貫かれているのです。


というのも、韓国の人々の道徳観の基本には、

儒教の精神が生きているため。









儒教は、もともと中国の孔子が説いた教えですが、

韓国では十四世紀後半から二十世紀初期まで続いた

李朝時代に国教として定められ、政治や思想に大きな影響を与えました。



信仰の自由が認められ、仏教徒やキリスト教徒が多い現在の韓国でも、

実はお葬式や祭事と深く関わっているのは儒教。


たとえキリスト教徒であっても、

葬儀の基本部分は儒教式で行う人がいるように、

儒教は宗教と言うよりも、人々の生活規範となっているのです。





「孝」を重んじる儒教では、自分を生み育ててくれた親を尊敬し、

その恩に報いることがとても大切。


それは同時に、自分の親の親であり、

そのまた親でもある代々の祖先を崇拝し、

礼を尽くすことにも繋がります。


親に孝行したい、祖先を手厚く祀りたい。

そのような思いは韓国の人々を、

盛大な葬儀を行い立派なお墓を建てることへと向かわせるのです。


 
あの世からの使者を迎えて

伝統的な儒教式のお葬式には、さまざまなしきたりがあります。

たとえば臨終が確認されると、遺族たちは大声で泣き、

人々に葬儀の始まりを告げます。

儒教では、あの世から使者が迎えに来て、

亡くなった人の魂を導いてくれると考えます。

そこで、まず故人の上衣を持った人が屋根に登り、

北側に向かってそれを振り、あの世の使者を招くのです。

家の庭には、「使者床」と呼ばれる使者のための食事や草履も用意。




また、故人があの世へ行く道のりの食料として、

水に浸したお米を遺体の口に入れる習慣もあります。

遺族の喪服は、正式には故人との関わりによって異なりますが、

生成りの麻の韓国服に頭巾をかぶるのが基本。

儒教では、両親の死は世話や誠意が及ばなかった子の罪であると考えるため、

遺族は何の色にも染められていない粗末な服を着ることで、

罪深さを示すのです。


時には故人の思い出話に花を咲かせ、

時には遺族を慰める為の歌が披露され、

そして時には花札までも登場して、葬儀は延々三日間にも及びます。

 


その後、棺は花で美しく飾られた輿に乗せられ、墓地へ。

そして、故人の名前や出身を記した旗、

いわばあの世で使う戸籍謄本と共に、土中に埋葬されます。







 
変化する都市部のお葬式

このような自宅でのお葬式が今も地方の農村などで行われている一方で、

都市部を中心に葬儀のスタイルも変化しています。

実際、自宅での葬儀が難しい都会のアパートやマンション住まいの人々の間では、

病院の霊安室をいわゆる葬儀場として、葬儀を執り行う病院葬が増加。


また、身近に葬儀に詳しい親族がいないため、

専門の業者に式の進行を任せるケースも多くなってきました。

お墓にしても、従来は、風水に則って決めた場所に

土饅頭型の小さな塚を作ってきましたが、

土地不足の現代では最寄の共同墓地に埋葬されるのが一般的。

さらには、年々、火葬を望む人の率も高まっています。


このように、葬儀の形は時代とともに変化し、

伝統的なお葬式は次第に行われなくなりつつあります。

しかし、いつまでも変わらないのは、

子を愛する親のこころであり、親を思う子のこころ。

そのこころが生き続ける限り、

お葬式が単なる儀式となってしまう日が来ることはないでしょう。











参考

葬祭研究所


















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